日本乳房オンコプラスティックサージャー学会他より。インプラント留置済みの方への発表

2019 年 8 月 2 日

ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)

近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、ブレスト・インプラント関連未分 化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL)) という疾患が知られてきています。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんと は異なる悪性腫瘍です。
現在わが国の健康保険で許可され、乳房再建を目的として流通している唯一のインプラントで ある、アラガン社のナトレル 410, 110, 115, 120 は表面がざらざらのテクスチャードタイプで、 Biocell(バイオセル)という表面構造を持ち、この疾患のリスクを有するタイプに該当します。 世界的には、このインプラントが挿入されている方のうち約 3300 人に1人(0.03%)にこのリンパ 腫が発生すると報告されています。日本では今年に入り 1 例の報告がありました。海外からの報 告では、このリンパ腫は、インプラントを入れてから平均 9 年ほどで発生する可能性があり、症 状としてはインプラント周囲に液体がたまり、大きく腫れることで始まることが多いとされてい ます。
BIA-ALCL を発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒す るとされています。一方で、発見が遅れた場合や切除しきれない場合には化学療法や分子標的薬、 放射線治療等の追加治療が必要となり、死亡した例(米国での発症 573 例のうち 33 例・5.75%) も報告されています。
米国時間 7 月 24 日、米国の厚生労働省にあたる FDA の指導の下、アラガン社が全世界で、イ ンプラント・ナトレル 410, 110, 115, 120 およびティッシュエキスパンダー・ナトレル 133 を 含む Biocell を用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしました。 これに伴い、日本国内でも同 25 日より自主回収が開始されました。
乳房インプラントが挿入されている方については、FDA やそれよりも前に流通停止を決定して いた EU、カナダにおいても、症状のない方に対する予防的なインプラントの摘出は推奨してい ません。腫れやしこりがないかを自分でチェックするように推奨しています。発症リスクは 0.03%と低く、手術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるためです。本学会としても同様 の見解です。
学会では、インプラントの保険適用の際から、インプラントの破損(10 年で 10 人に 1 人の確 率)や合併症の発見のために最低 10 年の定期的な診察と、2 年に 1 度の画像検査を推奨してま いりました。この BIA-ALCL においては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、10 年以降も引き続き、自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を 感じた場合にも受診をお願いいたします。
* 内容に関して不明点がありましたら日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事 務局(e-mail: jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。

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