アラガンにリコールを指導したFDAのサイトより。死亡33名中13名がアラガン製品

米国食品医薬品局 (FDA) が Allergan 社テクスチャード型乳房インプラントをリコール。
●2019年7月24日に米国食品医薬品局 (FDA) は、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)のリスクから患者を保護するため、Allergan 社に対して同社の BIOCELL テクスチャード型乳房インプラントと組織エキスパンダーをリコールすることを求めた。 Allerganはこれに同意し、7月25日に世界の市場から同製品を回収し販売停止することを発表した。

●FDAによる解析では、BIA-ALCL が全世界で573例 (死亡例は33例) 報告され、このうち481例が Allergan 社のインプラント症例であった。死亡した33例中、13例が全 Allergan 社のインプラントを使用、残りの20例は製造元が明らかではなかった。Allergan BIOCELL テクスチャードインプラントによる BIA-ALCL リスクは、米国他社製テクスチャードインプラントの約6倍であった。

●BIA-ALCL は非ホジキンリンパ腫の一種です。 BIA-ALCL はインプラント近くの瘢痕組織に限局するが、全身に広がることもある。BIA-ALCL の発生率は低いと考えられるが、早期に診断されなかった場合や迅速に治療されなかった場合、死亡する可能性がある。BIA-ALCL のほとんどの患者はインプラント周囲の瘢痕組織の除去により治癒するが、一部では化学療法および/または放射線療法を必要とすることもある。

●Allergan BIOCELL 乳房インプラントを使用された患者への推奨事項
・症状がない場合には BIA-ALCL を発症するリスクが低く、乳房インプラントの除去は推奨しない。
・BIA-ALCL の初発症状は乳房インプラント周囲の腫れや痛みであり、インプラント周辺の症状に注意する。
・これら症状やその他の変化を認めた場合、担当医に報告する。BIA-ALCL の診断には、視触診、画像診断、インプラント周囲の瘢痕組織や貯留液の評価が必要となる。
・BIA-ALCL と診断された場合、インプラントと周囲犯行組織の除去を受ける必要があり、それはインプラント除去単独より広範囲の手術となる。
・他の体内埋め込み型装置と同様、インプラントの製造元、シリアル番号、型番を記録しておくことが勧められる。この情報を入手する場合は、担当外科医あるいは手術が行われた施設に連絡をする。
・BIA-ALCLのほとんどの症例はインプラント挿入から長期間を経過してから発症する。BIA-ALCL 発症リスクを担当医と相談する。

●医療者への推奨事項
・Allergan BIOCELL のの使用は即時中止すべきである。
・現時点ではFDAは、BIA-ALCLを発症する危険性が低いため、無症状患者では乳房インプラント除去を推奨していない。
・自身の患者には BIA-ALCL を発症するリスクを告知すべきである。
・乳房インプラントを挿入する前に、製造元ラベルやその他の教育用資料を患者に提供し、インプラントの利点とリスクについて相談する。
・乳房インプラント挿入から時間が経過してインプラント周囲も変化を認めた場合、BIA-ALCL の可能性を考慮する。 BIA-ALCL 症例では、インプラント周囲に漿液腫、腫瘤、硬結を認めた。BIA-ALCLが疑われる場合は、本症の診断と治療に精通した専門家によって評価が行われるように手配する。
・インプラント周囲の漿液と皮膜を病理検査に提出し、BIA-ALCL を除外する。漿液と皮膜は Wright Giemsa染色塗抹標本、CD30 および anaplastic lymphoma kinase (ALK) marker をセルブロック免疫染色およびフローサイトメトリーで検索する。
・BIA-ALCL の治療は、National Comprehensive Cancer Network (NCCN) などのガイドライン準じる。
・乳房インプラント関連の全 BIA-ALCL 症例は FDA の安全性情報および有害事象報告プログラムに報告する。

●乳房インプラント挿入患者の懸念への対処
FDAは、今日の公表が乳房インプラント患者、特に Allergan BIOCELL インプラントの挿入患者や、い、インプラント製造元やモデルを知らない人に心配を引き起こすことを理解している。FDAは、すべての乳房インプラントやその他装置による BIA-ALCL の発生をモニターしている。米国マーケットにおけるマクロテクスチャードインプラントのシェアは5%未満である。BIA-ALCL リスクを完全に明らかにするため、FDAは患者と医療者が上記FDAの勧告に従うことを推奨する。

https://www.fda.gov/medical-devices/safety-communications/fda-takes-action-protect-patients-risk-certain-textured-breast-implants-requests-allerga?fbclid=IwAR2QL3wWEkWBYdnFQEMcc_Ha0SnWivPkIjiKF1dCPUtP25V4NumU3_es6_g

死亡以外の患者573名中481名がアラガン製品使用。今年6月日本でも1名発症確認。

2019年7月25日 7:36 の日経より抜粋↓

 

シリコンインプラントによるリンパ腫発症。33名死亡 他に573名患者。大半がアラガン製品

2019年07月25日(木) 15:00 配信共同通信社 医療 

 【ワシントン共同】米食品医薬品局(FDA)は24日、がんで切除した乳房の再建や豊胸手術などで使われる人工乳房が原因とみられるリンパ腫により世界で33人が亡くなったと発表した。

死者以外に573人の患者を確認。大半がアイルランド製薬大手アラガンの製品を使用していた。同社は世界的に対象製品を自主回収し、販売停止すると同日発表した。

日本では日本法人のアラガン・ジャパン(東京)の製品が承認されている。関連学会が国内初の患者を確認したのを受けて、厚生労働省が6月、病気のリスクを患者に十分説明することを添付文書に記載するよう指示していた。

FDA集計での日本人の死者、患者数は不明。FDAは症状のない人が製品を体外に取り出すことは勧めていない。2011年に病気のリスクが指摘され調査していた。

このリンパ腫は「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫」と呼ばれる。主に「ゲル充填(じゅうてん)人工乳房」という種類のうち、ゲルを包む樹脂の表面がざらざらしたタイプで発生しているという。